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アメリカ 孤独な画家 ホッパーに出会う

西欧美術紀行 アメリカ 孤独な画家 ホッパーに出会う

ニューヨーク出身の20世紀の画家、エドワード・ホッパー(18821967)。アメリカの具象画家としてその地位を築いた。孤独の影、郷愁を誘うなどと比喩される。ホッパーの作品は、ニューヨークに数多く残っているが、傑作とされるのは、シカゴ美術館にある。《ナイトホークス》1942である。Edward20hopper20nighthawks

街角のコーヒーショップの止まり木に集う紳士と隣の化粧の濃い女性の二人に反対側で背中を、みせる男一人。給仕をする男。それぞれに孤独感が漂う。この絵の4人の登場人物は、バラバラである。決して仲良く談笑してはいない。横長の舞台設定は妙に落ち着く構図だ。決して楽しそうな場の雰囲気はないが、妙に電気が明るい。光と影のコントラストや色彩の対比が、ホッパーの特徴かもしれない。不思議とひきつけられる作品だ。(実際にはタイトルが示すように、商売で夜鷹の女性が男達を引っ掛ける場面かもしれない。もしくは宵っ張りの男女が、たまたま時間を共有していたのか。想像がふくらむ。)恥ずかしながら、私はアメリカの美術館めぐりで、はじめてホッパーの作品をみた。そして感動した。

NYCのメトロポリタン美術館では《夜明けの灯台》1929をみた。3筋の雲の流れとただの灯台の絵だ。しかし「朝」の夜明けを感じられる。それだけだ。Hopperlighthouse2lights

MOAでは《ガスステーション》1940をみた。町はずれのガソリンスタンドの風景にすぎない。老人がひとり。明かりに照らされている「孤独」。日本でいえば昭和初期から終戦前くらいの時代だ。アメリカも暗い時代であったのだろう。

ホッパーの作品は風景画、街角の風景、室内画の3種類があるという。まだ、ごらんいただいていない御仁は、ぜひみてほしい。なんとなく、なんとなく現代人に共感を覚えさせる作品ばかりだ。その瞬間、時間を切り取っている。

Hopper_gas

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コメント

ホッパーのNIGHTHAWKS(ナイトホークス)は、「宵っ張り」とか「夜更かしする人々」と訳すべきでしょうか。ホッパーの代表作であるばかりでなく、アメリカ現代絵画の秀作と評価されているようです。

たろべえさんの心理分析もおもしろいのですが、美術史的にはいくつかのポイントがあります。

この絵が描かれ完成したのは、1942年。アメリカにとっては、真珠湾攻撃によって日米が開戦した大きな事件があった直後、ホッパーは製作を始めたそうです。おそらく、アメリカの行く末にたとえようのない不安感があったのでしょう。

場面はマンハッタンのホッパーの住まいからほど近いグリニッチビレッジのカフェバー。
おそらく深夜でしょうか。都会なのに外を歩く人影もなく、ただただ店が強い照明によって浮き出ています。店の中の二人は、恋人同志かもしれません。意味をもつのは、背中をむけている紳士。まさに物言わぬ傍観者。そして白い服装の店のボーイも洗い物でもしているのでしょうか。

店にいる客3人とボーイは、互いに話しをするでもなく、孤独にひたっているようです。この明るい店には、外へ出るドアが描かれていません。現代の空虚さ、むなしさやどうしようもない想いが、カフェバーに凝縮しているようです。

それから評論家たちによくネタにされますが、この店の看板部分には、当時ポピュラーであった「フィリーズ葉巻」の広告があります。ホッパーは何か訳があって、葉巻の宣伝をしたようです。

そして何より、たろべえさんも書いておられますが、この絵はとてつもなく明るい光と黒い街並みのコントランストがすばらしいと思います。(以上、アメリカで手に入れたホッパーの解説書からでした。)参考にしてください。

投稿: 通りすがりの旅人 | 2006年9月 5日 (火) 21時03分

ブログへのコメント有難うございました。
私はホッパーの絵を生で見たことがありませんので、羨ましい限りです。
画集は持っているので、よく眺めています。
静かなのに心動かされます。孤独が心に沁みます。
添乗員のお仕事で世界の美術館に足を運ばれたとのこと、素晴らしいですね。
興味のある内容ばかりで、楽しく拝見させて頂きました。
また、お邪魔させて下さい。

投稿: dandan | 2006年9月 6日 (水) 05時16分

通りすがりの旅人さん
dandanさん

コメントありがとうございます。
ホッパーの《ナイトホークス》は、タテ80cmヨコ150cmくらいの絵でそんなに大きくはありませんが、シカゴ美術館では人気でした。

旅人さんの絵画解説については、私見を述べさせていただきました。

投稿: たろべえ | 2006年9月 6日 (水) 09時53分

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