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NYC近代美術館、この1枚はワイエス

西欧(アメリカ)美術紀行 NYC近代美術館、この1枚はワイエス

 ニュヨークの近代美術館(MOMA)には、数々のすばらしい作品があるのはいうまでもない。ゴッホやマティスにピカソ、アンディー・ウォフォールもある。中でも1枚を選ぶといえば、アンドリュー・ワイエスの《クリスティーナの世界》だと思う。

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 Andrew Wyeth〔1917~〕はアメリカ生まれの「アメリカン・リアリズム」の代表的画家で現在もご存命のはずだ。日本でも人気がある。

 この《クリスティーナの世界》は、別荘の近くに住む、足の不自由な少女・クリスティーナが草原に座り込んで遠くをながめる作品だ。彼女はポリオ(小児麻痺)で歩くことにも不自由であったけれど、そんな肉体のハンディーにめげず、真剣に生きていた。何不自由なく育ったワイエスにとってクリスティーナの存在は、ある意味で脅威であった。

 この作品は『テンペラ画』である。顔料を卵やにかわや樹脂で練った不透明な絵の具を使う。15世紀に西洋で「油絵の具」が発明されるまで、西洋絵画の主流をなす技法であった。写実をつらぬき、質感を重んじるワイエスの作品には、なくてはならない技法だ。

 またワイエスは、クリスティーナを少女時代から30年にわたって描き続けた。そのクリスティーナが亡くなると、今度はやはり近所に住む、ドイツ移民の女性「ヘルガ」を実に240点、15年間にわたって描いた。もちろん肖像画もある。室内でも裸体画もある。いずれもリアルに描写されたものばかりだ。

 夏から初秋の草原で、遠くの家をみつめるクリスティーナ。まともに歩くことはできないけれど、しっかり先をみつめている彼女の生きざまを見事に伝える、1枚である。

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コメント

読者の皆様へ

残念ながらアンドリュー・ワイエス氏は
2009年1月永眠しました。90歳を超えていましたので
大往生ですね。

アメリカの偉大な画家です。

投稿: もりたたろべえ | 2009年1月19日 (月) 23時45分

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