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世界遺産 合掌造り集落 白川郷へ行く

 飛騨高山には何度も行ったが、今回はじめて《白川郷》に行ってきた。

1995年、世界遺産(文化遺産)に登録された合掌(がっしょう)造りの集落がある。Photo_77

 岐阜県大野郡白川村荻町に59棟の合掌造りの建物が現存している。ここは人々が生活している村でもある。実は、ユネスコに世界遺産として登録されたのは、《白川郷》だけではなく、同じ庄川の流域の狭い段丘に築かれた《五箇村》の「相倉」と「菅沼」の合掌造り集落も含まれている。(こちらは富山県南砺市)

いまでこそ、高速道路が整備され、高山から白川郷まではマイカーやバスで、

2時間程で行くことができるが、それでもなお、平野部からは遠く離れた山間部にこれらの集落がある。(相倉には24棟、菅沼には9棟の合掌造り集落あり)

 白川郷では、公開されている合掌造りの家のひとつ、最大級の『和田家』を見学。館長の和田正人さんにお話をうかがった。(息子さんである)

(合掌造りと呼ばれるには)

1 茅(カヤ)葺きであること

2 切妻屋根であること

3(伊勢神宮のようにA形の)サス構造であることPhoto_79

 歴史的にはいまから300から400年前、江戸時代につくられたようだ。この地方は、冬は豪雪地帯だ。1981年には積雪が4m50cmにもなった。二層、三層には蚕棚をおき、養蚕をしていた。屋敷の構造から、風通しをよくするためと、陽射しを取り入れるため、表と裏(南北)に大きな窓をつけてある。夏涼しく、冬は暖かく過ごす工夫だそうだ。

 驚いたことに内部は、屋根裏が広い。太い丸太の横棒と縦木にスジカイの木々が組み合わされているが、釘(金具)は使われてはいない。すべて縄と木の皮である。(木の皮はネソ:マンサクと呼ばれる)風や地震にも強い柔軟な構造になっている。むしろ一番怖いのは、火災であるそうだ。(そのためこの地区には、消火栓と放水銃の防火小屋が55もある)Vfsh0180

 屋根は60度の傾斜角度がある。冬場の雪を意識した構造だ。それでも30年から40年に一度、茅を葺き替える必要があるというのも驚く。材料のカヤは、村でも栽培しているが、不足分は富士山の麓から運ぶそうだ。平均的な合掌造りの民家の屋根に必要なカヤは4トントラックで20台分。費用は2000万円もかかる。

 もちろん国の重要文化財であり、世界遺産であるから、国・県・市町村から補助金が出るため、個人の負担は1割程度で済むというが、200万はかかるということだから、決して安くない。カヤ葺きも《結:ゆい》という、共同作業で、必要日数は2日、延べ200人でおこなう。

 和田さんに質問してみた。

「大人300円の入場料収入で食べていけますか」

これは、なんとかなるそうだ。農業や林業で生計を立てていた村も世界遺産登録によって、産業構造も大きく変化し、観光業に移っている。白川郷への観光客は、年間144万人。民宿が21軒あるが、(村内に宿泊するのは5%で)ほとんどが日帰り。

「毎日、朝9時から夕方5時まで、自分の家の中を観光客があがり込むって、あんまりいい気分ではないですよね?」

実際に民家内に寝泊りしているのは、館長さんのご両親だけで、自分たちは近くに家を借りて住んでいるそうだ。そうでなければ子供を育てられないそうだ。

 いずれにせよ、国の重要文化財に指定されているため、家のどこかがこわれても勝手に修理することもできず、すべて申請をしなければならないそうだ。もちろん家を売ったり買ったりすることはできない。こういった生活も大変だ。しかし、歴史ある文化を守り、次の世代にしっかり伝えていく姿勢には好感がもてた。

 白川郷は真冬の1月末から2月中の週末、ライトアップをして幻想的な風景を作り出す。年間でもっとも観光客が少ない時期に旅するのもよいかもしれない。それから、忘れられた世界遺産の《五箇村》にも足を伸ばしたいものだ。

白川郷の全景は、城山展望台(昼食施設『天守閣』)から写したもの。ポスターやパンフレットの画像は、すべてここから撮影したものだ。

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※写真上は白川郷観光協会提供(残り3枚はたろべえ撮影)

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コメント

世界遺産 白川郷の秋はステキですね。
まだ行ったことがありません。うらやましい。たろべえさんも書いている「忘れられた五箇山の合掌造り」も是非、見たいと思いました。富山県と岐阜県の観光行政の違いなのか、力の入れ方の差なのか、興味深いですね。

投稿: 通りすがりの旅人 | 2006年11月 1日 (水) 23時56分

通りすがりの旅人さん

 コメントありがとうございます。
白川郷は歩くといいところです。でも紅葉はまだでした。

 それから五箇山はぜひ行きたい所です。いま合掌造りに感化されて、ブルーノ・タウトの「日本美の再発見」を読んでます。

 読書の秋ですが、たろべえはやっと井上靖の「風鈴」じゃなくて「風林火山」を読み終えたところです。このお話はまた、ブログのネタにしたいと思います。

投稿: たろべえ | 2006年11月 2日 (木) 00時59分

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