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はじめての機内アナウンス《私はこの便を担当しております、たろべえです》

 いまから15年程前の第一次「バリ島ブーム」があった。バリでは、クタビーチにサヌールビーチが有名で、ヌサドゥアビーチに豪華なホテルが続々と建築中だった。

 年末年始になると、インドネシア国営の「ガルーダ・インドネシア航空」は、日本とジャカルタ経由、バリ島間を飛ぶ定期便のほかに、臨時便(エキストラ便)を出して、満員のお客様に応えていた。

 当時、臨時便は定期便のGA873便(日本→インドネシア)に対してGA8731便、帰路は874便(インドネシア→日本)に対して8742便であった。873/874は、成田~ジャカルタ~デンパサール(バリ島)~ジャカルタ~成田の運行経路をとっていた。臨時便は成田~デンパサール~成田の直行であった。

 それでも予約システムに問題があったのか、コンピュータを操作するインドネシア人がいい加減なのか、オーバーブックは日常茶飯事だったので、どれほど臨時便がありがたかったことか。

 年末の12月30日、成田空港で定期便のGA873便(11時発)を見送った後私は100名近くのお客様の手続きをおこなう。GA8731便だが、ジャカルタ経由ではないので、成田12時発でも、定期便よりも先にバリに到着する。いよいよ自分のボーディング・パスを受け取ると、座席番号が入力されていない。確かに8731便でデンパサール行きなのだが、シート・ナンバーが空白で、よく見ると「ジャンプ・シート」と書いてある。ジャンプ・シートは、スチュワーデス

(キャビンアテンダント)の座る席のことで、ギャレー(台所)の後ろ、お客様と向き合う、例の席のことだ。(出発間際までガルーダのカウンターで待ったが、当日のキャンセルが少なく、私の席はそのままだった)

 機内に乗り込む。満席。当然、荷物を上げる棚もなく、添乗用のバックは、スチュワーデスに預ける。仕方なくすわる。乗客と対面するのだ。やはり恥ずかしい。(あの人、パーサーかしら?と不思議な視線を浴びる)それでも離陸の時は、(お仲間の)スチュワーデスさんが隣にすわっているのでよい。さすがに食事の時は困った。「ジャンプ・シート」にテーブルはつかない。したがって食べることができないのだ。Img10486107363

 食事(昼食と軽食)の時は、パーサーに呼ばれ、ビジネスクラスとエコノミークラスの中間のカーテンで仕切った「緩衝地帯」に連れていかれた。そしてワゴンの上にお皿などのセットを置いて立ち食いである。(それでも申し訳ないと思ったのか、ビールやワインに水割りと飲み放題コースだ)

 長時間「ジャンプ」に腰をおろしていると、度胸ができる。だんだん平気になるから不思議だ。しかし、トイレに行くために立ち上がると、いきなりシートは自動的に「ジャンプ」して収納される。飲み放題でもとをとったので眠くなった。約7時間でバリ島デンパサール空港に到着。貴重な体験であった。

 バリ島では、得意のオプショナルツアー売りで活躍。あっという間に4泊が過ぎる。帰りも臨時便で、GA8742だから日本まで直行便だ。今度は滞在中にしっかりリコンファーム(再確認)をしたので、席は大丈夫のはずだ。

 バリ島から帰る便は、ガルーダ・インドネシア航空8742便で午後11時発だ。これも定期便(874便)より1時間出発が遅いが、成田には早く着く。

今度は自分のボーディング・パス(搭乗券)に座席番号があった。(あたり前だ)

 ナイトランなので、軽く食事をして、ビールを飲み、機内へ。添乗員は帰りの機内まで、お客様を案内すれば、とりあえず安心だ。これで「ひと仕事」と思ったのもつかの間だった。離陸前に機内アナウンス(英語)で「ミスターたろべえさん、たろべえさん。お近くの乗務員まで」ときた。

 まさか「オーバーブック」で、また「ジャンプ」?それとも降ろされるのかな?などと疑心暗鬼でキャンビン・アデンタントに申し出る。すると、何やらこの便は臨時便で、機材のやりくりの関係で香港とデンパーサールを飛んでいるクルーの編成のため、日本人乗務員(アテンダント)が乗っていないという。しかし、日本へ向かう飛行機のため、乗客の9割は日本人だ。片言の日本語を話す乗務員はいるが、あなたにぜひ、機内アナウンスをやってほしいという。

(ジャンプ・シートの次は、アナウウンスである。やれやれだ。)

 「機内アナウンス」には台本がある。タバコの箱くらいの大きさの紙(メモ)に、ネタが書いてあるのだ。インドネシア語と英語だ。これを訳して「日本語」でアナウウンスをしてほしいとのこと。

 皆様、本日もガルーダ・インドネシア航空をご利用くださいましてありがとうございます。この便は8742便、(千葉県なのに)東京成田行きでございます。この便の機長はバグース・アハド、私はこの便を(無理やり)担当いたしますパーサー(代理)のたろべえでございます。当機は、まもなく出発いたしますのでシートベルトをしっかりお締めください。(とくにジャンプ・シートは気をつけましょう)新東京成田国際空港までの飛行時間は、8時間45分を予定いたしております。到着地・成田の天候は、晴れ、気温は摂氏10度でございます。

なお、約1時間ほどいたしましてお夕食のサービスをさせていただきます。また、ご到着1時間前に、ご朝食のサービスをさせていただきます。それでは(狭い機内でございますが)ごゆっくりおくつろぎください。(ちなみにこの飛行機には日本人の係りは乗務しておりません。だから面倒なことは言わないで静かに乗っていてください)

 

 これがはじめての機内アナウンスであった。(カッコ内は陰の声)

Bali

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コメント

たろべえさん、楽しいお話、ありがとうございます。

添乗員をしていると、思いもしない事が降りかかってくるのですね。
当事者はちょっとドキドキかもしれませんが、後で記念になるようなお話です。

私達のバリの旅も楽しいものでした。ヒンドゥー教寺院のレリーフや彫刻の豪華さ、ウブドのネカ美術館で見たバリ絵画の繊細な独特のタッチ、水田の美しさやバリの人々の信心深さ、いろいろなことに感心しました。

それにしても、素敵な写真ですね。夕焼けにやしの木のシルエットがくっきりと映え、雄大な空に点在する変わった形の雲が印象的です。

投稿: Cojico | 2006年12月29日 (金) 21時13分

Cojicoさん、ありがとうございます。

まさに添乗員は、思いもかけないことに遭遇するのです。飛行機の欠航や遅れ、ホテルのオーバーブッキングなど、数えきれない「修羅場」をくぐり成長していきます。

 実は「機内アナウンス」(アナウウンスと発音してください)は、その後、ギリシャのアテネからサモス島へ行った時にもやりました。わりと気持ちのいいものです。

投稿: もりたたろべえ | 2006年12月29日 (金) 23時36分

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