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【にっぽん 旅の文化史】《旅行用心集》その3

 江戸時代のベストセラー・旅行ガイドブック《旅行用心集》の中心は、やはり八隅蘆菴(やすみろあん)先生の「旅行用心六十一ヶ条」である。5

 六十一ヶ条の出だしは

 一 初(はじめ)て旅立ちの日は足を別而(べつして)静かに踏み立て、草鞋(わらじ)の加減等を能試(よくこころみ)、其二、三日が間は所々(ところどころ)にて度々

(たびたび)休み、足の痛ぬやうにすべし。出立の当坐には、人々心はやりておもはず休みもせず、荒く踏み立てるものなり。足を痛めれば、始終の難義になることなり。兎角(とかく)はじめは足を大切にするを肝要とす。

 旅に出たはじめの頃は、まだ新しい草鞋が足に馴染まない。いまでいえば、靴ずれが起きたりするので、最初の2、3日は先を急ごうと、はやる気持ちをおさえて、慎重に静かに歩くこと。もっとも現代では、旅行には「履き慣れた靴」は常識。

 一 道中所持すべき物、懐中物の外、成丈(なりたけ)事少なにすべし。品数多ければ失念物等有りて、却而(かえって)煩はしきものなり。

 旅行の持ち物、荷物は、できるだけ少なめに、という鉄則だ。これもまた、現代でも十分に通用する。荷物が多いと、運ぶのに大変なだけではなく、なくしたり忘れ物をしたりするもの。

 私は添乗に出る時は、極力、必要最小限の荷物に決めている。5泊から1週間位の海外添乗でも、下着や靴下は3組程度で十分。シャワーを浴びる時に洗濯をするのだ。ホテルの部屋は、乾燥しているため、下着や靴下なら一晩で乾く。翌日の出発が早い時などは、洗濯したら手でよく絞り、ヘアドライヤーで乾かすこともある。

 このほか、旅行用心六十一ヶ条では、「朝はせわしいので、身の回りの荷物は、前夜のうちに風呂敷にまとめておく。足袋はすぐにつけられるように枕元に準備しておく」、

「空腹時には酒を飲んではいけない。夏でも冬でも酒は熱燗」、「普通の旅であれば、夜道は歩くな。おしなべて旅では、9日間の行程であれば10日間をかけて行く余裕をもつこと」など、納得することが多い。

 この用心集の中で、おもしろいのが「道中にて草臥(くたびれ)を直す秘伝ならびに奇方(めいほう)」という、箇所。足に豆ができた時の対処法・治療法などと共に、イラストで足を描き、疲労回復のためのお灸をすえるポイント(灸点)まで紹介している。

此図(この)図の外に、草臥、足痛の灸所多し。試み覚えてよき所おもえば(灸を)すえべし。然れ共わらじ、脚半等にてすれる所は用心あるべし。

 ここでは、「三里」、「承山」、「通谷」のツボを紹介している。わかりやすい。

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