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【にっぽん 旅の文化史】《旅行用心集》にみる「諸国温泉紹介」続

 さらに用心集では、実用的な温泉入浴方法を示す。〔写真:奥日光高原ホテル露天風呂〕

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一 湯治する人、其の温泉、其の病症にあふとあわぬとをためし見るには、初(はじめ)一両度は入りて後、胸腹すき食物味(あじわ)ひよきは相応したると知べし。若(もし)一両度は入りても胸腹はり食の味ひあしく進まざるは、先(まず)は不相応としるべし。是等の事は、其の土地々々の湯宿へ委細を咄(はな)し、其の上入湯すべし。然(しかれ)どもニ、三日も入りて見れば、おのづから様子しれるものなり。

一 湯治の仕方は、はじめ一日二日の中は、一日に三、四度に限(かぎる)べし。相応する上は、五、七度迄はくるしからず。老人、又は虚弱の人は斟酌(しんしゃく)あるべし。又多年の病は、一ト回、二タ回にては不治(いえざる)ものあり。故に三、四回、又は一、二月も入るべし。

一 湯治中、病人は勿論、無病の人にても禁じ慎むべき物は、飽食、大酒、房事、冷たる食物等也。又湯上(ゆあがり)には惣身(そうしん)毛の孔開くゆへ、外邪をうけやすし。

 

之に依り深山の涼風にあたり、又は清水に足を冷し、或いは風吹にうたたたねなど決而(けっして)すべからず。平生(平静)の外邪よりも、湯上りに受たるは別而甚(べっしてはなはだ)し。慎むべし。

 内容の概略。その温泉が自分の病(やまい)に適合するか、どうかは、12回入浴すればわかる。入浴後、腹が減って食事がおいしければ、その泉質は自分に合っている。逆に食が進まなければ、合っていないと判断できる。いずれにしてもその土地の湯宿の人にきいて、入浴しなさい。もっとも23日入浴すれば、適合度合いは、自然にわかるものだ。 

 湯治における実際の入浴方法だが、温泉に入る回数は、最初の12日は、日に34回が限度。温泉が自分に合っていれば、57回入っても苦しくない。年寄りや虚弱体質の人は、よく考えて回数を少なくすること。長患いの人は、一度や二度の湯治滞在では、治らない。それこそ三度、四度または12ヶ月間の湯治が必要。 

 湯治期間は、食べすぎ、大酒飲み、房事(性行為)や冷たいものを食することは、慎むこと。湯上りには。決して外気にあたらないこと。あついからといって、清水で足を冷やしたり、風にあたってうたた寝したりしないこと。 (まさにご説ごもっとも)

 そして蘆菴先生は、温泉分析法も伝授する。 以下、たろべえ訳。

「温泉は熱くて湯が澄んでいて、鏡のように底まで透き通っているのがベストだ。ぬるくて濁っていたり、色がついている湯はよくない。しかしながら場所によっては、濁り湯で色が変わっていても無害で病気によく効く温泉もあるので一概にはいえない。」 

「源泉はひとつであっても、それぞれの湯宿に引き湯をしているので、場所によっては、温泉の効能も違ってくる。このあたりを宿の人によく問合せをしなさい。」 

「これから諸国の温泉について、細かく紹介する。おおよそ40ケ国、292箇所だが、当然のことながら日本中の温泉すべてを網羅したものではない。漏れている温泉があれば、みなさんで追加していただきたい」と、弁解も忘れない。八隅蘆菴先生は、どうやら医者が本業であったらしいが、「したたかな自己弁護」である。感心。Photo_7

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