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【にっぽん 旅の文化史】《旅行用心集》の「熱海特集」

 《旅行用心集》の「諸国温泉紹介」東海道の箇所では、伊豆の最初に「熱海特集」がある。蘆菴先生も力が入っている。

 熱海は、江戸から小田原までが二十里半、小田原から熱海までは七里で合計二十七里半、つまり約110㎞の距離。徒歩で3日だ。ご承知のように、現代では、新幹線

こだまで東京駅

から約50分と近い。用心集では、「熱海」をつぎのように説明している。

熱海(小田原ヨリ七里○江戸ヨリハ根府川御関所、手形入ル。此地(熱海)温泉数多シ。)

 細かい温泉場については・・・

大湯・清左衛門湯・野中湯・法斎湯・河原湯・水湯・風呂湯・走り湯

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P61_2 

蘆菴先生によれば、熱海の温泉は、大変暑い湯で昼夜6回湧き出るという。お湯は塩辛く鏡のように澄んでいる。海辺で潮(しお)がまじるため、お湯がやわらかくなり、熱さも猛烈ではない。様々な病気に効能があり、いわば関東一の名湯である。湯宿は数十軒あり、源泉の「大湯」からすべての宿が引湯をしている。また、熱海周辺には霊場や名勝地が多数あり、とくに「日金山(ひかねさん)」が美しいと述べている。(現代では十国峠・日金山ハイキングコースが人気だ)

温泉の効能については、箇条書きである。

熱海温泉の効能:中風、さしこみ、めまい・たちくらみ、痰づまり、眼病、頭痛、腰痛、脚気、ひきつり、つまずき、打ち身・くじき、虫、さなだ虫、痔ろう、脱肛、できもの、皮膚病、様々な傷、淋病、切り傷、しゃく、つかえ。歯痛は湯を何回も口にふくんでゆすぐとよい。避けた方がよいのは、むくみ、腹膜炎など(腹のふくれる病気)、

らい病、てんかん、黄疸、虚脱(精神的疲労、脱力感か?)

**************************************

と記述されている。これらのお湯の説明はともかく、「大湯」がもっとも知られていた。

 用心集では、上記の熱海の温泉紹介に続けて、脈絡もなく伊豆半島の温泉も記載されている。小奈(長岡温泉?)、修善寺温泉(若干の説明あり)、吉奈温泉(若干のコメントあり)、伊藤(伊東温泉)、宇佐美温泉、湯ガ島(湯ヶ島温泉)、蓮台寺温泉、湯ガ野・北湯ガ野(湯ヶ野温泉)とある。

江戸時代に描かれた『熱海温泉湯源沸湧之図(あたみおんせんゆのもとわきだしのず)』がある。説明によれば、大湯は、龍が火を吹くように、間欠泉で熱湯が噴出していた。湯気(ゆげ)はたちのぼる雲のようで、雷のような音が響いいていた。

「大湯沸湧(わきだし)の景、石龍(せきりゅう)熱湯を吐くが如く、湯気雲のごとく昇れり。泉声雷の如し。本朝第一の名湯なり」

Photo 

熱海市

観光協会によれば、熱海温泉の起源は、今からおよそ1250年前の天平年間(755765年)頃、箱根権現の万巻上人の発見と伝っている。

熱海の発展に寄与した一人が徳川初代将軍・家康である。慶長91604)年3月、家康は義直、頼宣の2人の子供を連れて、7日間熱海に逗留(東照公記等)し、同年9月、京都伏見城で病気療養中の吉川広家(きっかわひろいえ:毛利家家臣、初代岩国藩主)の見舞いとして熱海のお湯を運ばせた。「有馬の湯」ではなく、「熱海の湯」を運ばせたところに、家康がいかに熱海温泉を気に入ったかがわかるという。

この元祖「温泉宅配便」は、後に「御汲湯(おくみゆ)」として歴代徳川将軍に継承され、 4代将軍家綱公の時(1667年)、《大湯》の温泉を真新しい檜の湯樽に汲み、それを頑強な男数人に担がせ、江戸城まで運ばせていた。いまでも約90度と非常に高温の「大湯」は、江戸城に着く頃には、湯樽の温泉がちょうどいい湯加減を保っていたそうだ。記録では昼夜兼行で熱海から江戸まで、温泉宅配便の所要時間は15時間とのこと。(恐るべきスピード)その後、湯樽は船で運ばれるようになり、8代将軍吉宗公の時が最も盛んで、享保11年から19年までには3,640樽も送ったと伝えられている。(資料参考:熱海温泉旅館組合および

熱海市

観光協会)Photo_3

この源泉《大湯》を引湯しているのが、熱海ニューフジヤホテルにある露天風呂。「家康の湯」(男性用・女性用)という。

■熱海ニューフジヤホテル

413-0013 

静岡県熱海市銀座町1-16

 TEL:0557-81-0111

JR

熱海駅

より車で約3分、または徒歩で約10

【入浴時間】15:000:00 / 6:0011:00  月曜日のみ12:000006:0011:00

 間欠泉はなくなったが、源泉としの「大湯」は、いまも生き残っているわけだ。なお、熱海はバブルの頃から比べると、廃業したホテルもあるが、現在でも湧出する湯量は減ってはいないそうだ。

確かに新幹線や貸切バスで、私も熱海への社員旅行、職場旅行、招待旅行に随分、添乗した覚えがある。まさに温泉に入って、ぱーっと騒ぐ宴会。芸者さん、コンパニオンさんも呼んでいた。「団体客が減少し、熱海温泉の人気が落ち込んだために、熱海の温泉も枯渇した」、という「うわさ」があるようだ。どうもマスコミがつくり出した「熱海温泉崩壊神話」のようだ。熱海に「温泉」はしっかり存在する。

Photo_4 (写真:熱海ニューフジヤホテル「家康の湯」)

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