【にっぽん 旅の文化史】「箱根特集」続
江戸時代、片道2日から3日ががりの行程(約二十里)であった「箱根」も新宿から小田急ロマンスカーで、わずかに約1時間25分。東京から気軽に「1泊湯治」に行ける場所だ。(日帰りでも行くことが可能だ)
「箱根七湯」は、箱根湯本温泉、塔の沢(塔ノ沢)温泉、宮の下(宮ノ下)温泉、堂ヶ島温泉、底倉温泉、木賀(きが)温泉、芦の湯(芦之湯)温泉の七湯だ。芦之湯を除いて、早川沿いにひらけた温泉場であることは、前述のとおりだが、実は、現在の箱根湯本駅から登って行く「箱根登山電車」沿線の駅が、箱根七湯の場所を行く。
七湯の様子だが、広重が残した江戸末期の浮世絵がある。嘉永5年(1852)発行の《箱根七湯図会》である。湯治場というよりも近世の温泉リゾートといった感じだ。カラー(彩色)版で美しい。
さて、「芦の湯温泉」は、七湯の中ではもっとも標高の高い地にあり、江戸時代には多くの文人墨客が湯治に訪れている。
寛文二年(1662)創業、芦之湯の老舗旅館「松坂屋本店」は、駒ケ岳南東麓の広大な敷地内に、松尾芭蕉や本居宣長などが、夏場の避暑に訪れ、句会を開いたという東光庵があり、由緒ある歴史をいまに伝えている。なお、松坂屋本店(神奈川県足柄下郡箱根町足之湯55番地、TEL:0460(3)6511)の旧パンフレットには、広重の描いた松坂屋の様子や「芦の湯」の湯宿の浮世絵が載っている。(現在は大規模改装中で営業はしていない)
歴史の重み。おそるべし「箱根」なのだ。(下:松坂屋本店パンフレットより)
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