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《玉くしげ》を読む【その14②】箱根権現の大釜

Photo_9  湖畔には有名な《箱根権現》、いまの箱根神社がある。近くの店に案内(ガイド)を頼み、一行は昼なお暗い杉並木を抜け、鳥居の前へ行く。この鳥居前に「さし渡し四尺ばかり」(直径約1.2m)ほどの大きな釜が二つ置いてあった。「この大釜は、源の頼朝公が富士野に狩りにきたときに使ったものです」と、案内の娘は説明する。疑い深い正興、この釜に彫ってある年号を見て、後年の作と判断。江戸の町で、よく見かける防火用の「用心水」を入れる釜だと記している。

 この大釜については、《江戸の枝折》にイラスト付きで詳しく解説されている。

湯釜の説 右湖水の際(きわ)、筥根権現華表の左之方に大釜二口有、つたへいふ源頼朝富士の御狩之時の陣釜と、いつれにも古物と見ゆる

Photo_10 釜の周囲に銘が彫られていて、「文永五年(1268)」とある。(もう一つは後年の調査で制作年代は弘安六年1283)頼朝の巻狩りは、「建久四年(1193)」で、80年近くも年代が違う。さらに一説には、太閤秀吉が小田原征伐に向かう折、陣中で兵糧炊き出しに使った釜と伝わる。しかしながら「小田原の陣」は「天正18年(1590)」で、これも大きく年代が違っている。日本各地でも同様だが、歴史的な事実にかこつけて、おそらく観光客を呼び、一儲けしようという輩(やから)がいるのも事実である。

さて、正興一行は、さらに道すがら《曽我兄弟》の五輪塔を見て、歩き続ける。まず目指すは、《芦之湯》温泉である。

箱根山 関のむらすぎたれど けぶりも見えず 芦の湯の里

駒いそげ 関はこゆとも宿とほし 冠がたけに ひもかたぶきぬ

この一首では、いうまでもなく、「駒ケ岳」と「冠ケ岳」の山を取り入れている。自分たちを、将棋の駒のようにたとえているのもおかしい。さて、途中、湖で採れた山椒魚(サンショウウオ)を串にさして土産で売る店があった。詳しくはわからないが、焼いて食すと珍味であり、漢方薬として、解熱作用があり、小さなこどもの癇癪に効くらしい。そういえば、私も栃木県の湯西川温泉や福島県南会津で、小さな「サンショウウオ」を食べたことがある。あの奇妙な形が苦手で、しかも苦味があったようだ。味は覚えていないが、おいしいものではない。

湖畔からは、坂道が続く。二子山の横、さびしい道が続く。いまでも箱登山鉄道の路線バスで、芦ノ湖から芦之湯、小涌園前、宮ノ下温泉へ行くと、このあたりの景色はものさびしく、おそらく昔とかわっていない。Photo_11

二子山を右に見て、夏草しげる細道わけつゝ行けば、元済河原(もとさいのかはら)と云う所へ出たり。右は二子山、前に生子池(しょうじいけ:精進池)と云うありて、物さびし。

P

地蔵堂、源満仲の墓、曽我兄弟の墓などを見て、一行は芦の湯(芦之湯)へ。

(参考:『七湯の枝折』箱根町立郷土資料館)

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コメント

たろべえさん
芦ノ湖から小涌園の前を通って宮ノ下のルートは 箱根駅伝のコースで山登り 山下りのきついコースですよね。昔の人は歩いて旅したのでしょうから大変だとつくづく思います。今後の展開が楽しみです。

投稿: 通りすがりの旅人 | 2008年3月 2日 (日) 23時14分

riceball
通りすがりさん
コメントありがとうございます。
実はこの「玉くしげ」のネタを書くにあたって箱根に取材に行きました。「関所跡」がリニューアルされてきれいでした。また、箱根町郷土資料館では、係の方がとても親切で、資料収集に役立ちました。

 路線バスで湯本駅と芦ノ湖湖畔、関所と往復し、宮ノ下温泉や芦之湯温泉も車中から見ました。久しぶりの箱根ですが、冬だというのに、若い女性の2,3人の観光客が多いのには、びっくりしました。

 確かに湖から芦之湯温泉、そして小涌園、宮ノ下温泉へと続く山道(坂道)は、歩いたらきつい所です。駅伝の選手は、ここを走るのですから恐ろしい体力です。

投稿: もりたたろべえ | 2008年3月 5日 (水) 09時44分

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