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《玉くしげ》を読む【その14③】芦の湯

 爰(ここ)を過ぎ行くば、程なく芦の湯也。湯宿六軒有。松坂屋と云う、中にも手広きさま也。湯は硫黄にてくさし。湯の坪をみるに、ゆ桁(けた)に硫黄つき、湯濁りて見ゆ。B

 元済河原(もとさいのかはら)を経て、一行は《芦の湯》(芦ノ湯温泉)に到着。湯宿は、有名な「松坂屋」、「紀伊国屋」をはじめ、伊勢屋、大和屋、亀屋、吉田屋があった。このうち現在でも「松坂屋(松坂屋本店)」と「紀伊国屋(美肌の宿きのくにや)」が営業している。泉質は単純硫黄泉で、正興がいうように硫黄の成分で湯は青緑色だ。

 芦の湯の効能については、以前このブログでも紹介したが、参考に引用しておく。(『旅行用心集』より、カッコ内は箱根町観光協会提供の現在の泉質と効能)

○芦の湯(芦之湯)温泉:底倉より一里十六丁(約5.7㎞)

効能:脚気、筋肉の麻痺、結節(皮膚や内臓にできる,小さくてまるいはれもの)、わきが、寝小便、淋病、切り傷、

〔単純硫黄泉(硫化水素型)・単純温泉 神経痛、関節痛、動脈硬化〕

 この温泉場の「総湯」(共同浴場)の絵図が残されている。《芦の湯風呂内の全図》という。浴室は4つあり、ややぬるめの「底なしの湯」、ふつうの温度の「中の湯」、熱めで、いまでいう貸切風呂になる「小風呂」、そして「大風呂」である。うしろの2つは、加水もしていない「源泉掛け流し」だ。中の湯は、入口に湯宿の「のれん」をかけておくと、他の人は入れない仕組みであった。また、ここ芦の湯は、性病等にも効能があり、芸子さんや花町の女たちも湯治に訪れており、なかなか華やかな雰囲気もあったという。

もともとこの時代の湯は、混浴であったから、手拭い一つで体を隠す「おくゆかしさ」もあった。最近は、テレビの旅番組の影響で、有名温泉地の露天風呂に、若い女性がバスタオルを巻いて入ってくることがあるが、どうも興ざめである。(宿が黙認しているのか、秋田の鶴の湯でこのバスタオル女を何人も見たが、タオル1枚のこちらが恥ずかしくなって、なかなか出られなかった)

 さて、正興らは、ここ足の湯では、持病の「気にののぼる病」には、効力がないと聞かされ、先を急ぐことになった。つまり、芦の湯には泊らないことにしたわけだ。

 急ぎ山道を行く。足もとより雲起こり、雨ふりくべき空となれば、いそふぃ行くに、小鹿壱つ来たり、おのれを見て横ざまに草がくれ(隠れ)ぬ。

 鹿を目にするくらいだから、まだまだ山の中で里は遠いのだろう。雨が降ってきたら大変だ。と、いう調子で宮城野の里へ。それから、なんとか申のときの下り(午後5時頃)、《木賀》(きが)に到着することができた。木賀温泉では《亀屋》に宿をとることにした。

(資料提供:芦之湯、松坂屋本店、参考:『七湯の枝折』箱根町立郷土資料館)

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