« 《玉くしげ》を読む【ちょいと寄り道】歴史の宿・奈良屋 | トップページ | 《玉くしげ》を読む【その17】望郷 »

《玉くしげ》を読む【その16】雨ばかりで退屈な日々

P 4月27日

をやみなく雨ふる。午(ひる)どき過ぐるころ、神鳴(雷)、雨わきてつよし。挽物細工うる女、もちひ・くだものなどうる女、をりをりとふ(訪ねてくる)ばかりにて、けふもくれぬ。

 4月27日の全文である。カミナリが鳴って、大雨であったのだろう。のんびりするしかありません。箱根の寄木細工や餅菓子・くだもの売りの女商売人の相手をして、一日過ごしたというわけだ。

 「くだもの」だから、思い浮かぶのは、りんご・みかん・梨・桃・ぶどう・びわ・スイカ・ウリ・柿・栗・ぐみ・いちご・いちじくなどだろうか。(季節的には、春から初夏だから、なんだろうか)

4月28日

雨ふること、きのふのごとし。小田原の役人、宗門の改めとして来たり、この宿に泊るとて、奥の間に居たる湯客の、皆並びの坪(部屋)にきたれば、俄(にわ)かにゆすりみちたり(騒がしくなった)。

 この地域の「宗門(しゅうもん)改め」のため、小田原から寺社奉行が、手下10名ほどを連れて、奈良屋に泊りにやってきた。特段、宿泊客の取り調べではない。湯治客は、部屋を変更させられ、右往左往している。

 《宗門改め》は、いってみれば江戸時代の「戸籍登録」制度。最初は「キリシタン禁制」(キリスト教を禁止)のため、全国的に、幕府や諸藩が始めた。領民は必ず、どこかの寺の檀家となり、B その寺に登録しなければならない。これが「寺請制度」といい、家ごとに全員の名前、年齢、家族構成(続柄)、持高(収入)や牛馬など、家畜の数まで記入し、自分の属する寺の住職に檀家であることを証明してもらう。さらに庄屋、組頭がチェックして、代官、領主にこの届を提出した。どうやら毎年3月が、この登録の更新時期であったそうだ。寺は檀家に、本堂の改築等への寄付を檀家に募ったり、檀家が旅にでる時の「往来手形(通行手形)」を発行する役目があった。

_edited

|

« 《玉くしげ》を読む【ちょいと寄り道】歴史の宿・奈良屋 | トップページ | 《玉くしげ》を読む【その17】望郷 »

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/177442/40417222

この記事へのトラックバック一覧です: 《玉くしげ》を読む【その16】雨ばかりで退屈な日々:

« 《玉くしげ》を読む【ちょいと寄り道】歴史の宿・奈良屋 | トップページ | 《玉くしげ》を読む【その17】望郷 »