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《玉くしげ》を読む【その18】堂が嶋へ

5月1日(五月朔日) ※ちなみに、旧暦では4月30日はない

空よくはれて、朝日子ののぼるをみれば、明神嶽のふもとに、ひかりほのめきたり。きのふまで雨ふりて、西東もわかちがたく、「鷹の巣山のかたこそ、日いづ(出る)らめ」とかたりしに、おもはぬ方にて出(いづ)れば、我もひともおどろきぬ。

「けふは堂が嶋へ行みん」と、光興ぬしと携(たづさへ)いで、三丁ばかり谷の細道下りゆけば、家ゐ五軒あり。堂が嶋の湯宿なり。P

 昨日までは、雨が降り続いて方角もわからなかった。やっと晴れ、日の出の方向を見て、明神岳が東であることがわかった。「今日は堂ヶ島へ行ってみよう」

堂が嶋(堂ヶ島温泉)も宮ノ下温泉のすくそばである。「底倉」、「宮の下」、「堂が嶋」は、同じ一里(ひとつの里)だと、正興も書いている。確かに同じ地域に集中している。『七湯の枝折(しおり)』によれば、堂が嶋には湯宿が五軒あった。奈良屋(六郎兵衛)、大和屋、近江屋、丸屋、江戸屋である。現在でも「堂ヶ島温泉」で有名な宿が《晴遊閣 大和屋ホテル》。宮ノ下から専用の「夢のゴンドラ」で旅館へ行くことができる。早川渓谷沿いの源泉掛け流しの和風旅館で、評判がよい。お忍びに最適な隠れ宿という感じだ。

Photo_2 Photo_3 

 さて、堂が嶋には、名所として「白糸の瀧」や「夢想国師の旧居」があるが、ここではふれていない。木賀地域から流れてくる谷川(早川)が、前を流れ、湯宿のうしろは、上から山が続いている狭い地域だ、と記述。

ゆやどのうらに細道のあれば、「こぞのしをりの道かへてまだ見ぬ方の花を訪ねん」などたわむれつゝゆくに、わが住宿の下へでたり。おもひしより近ければ、「里人はとなりと云うもうべなり」と笑ふ。

いわずと知れた《西行》の句である。(新古今集)

「吉野山 こぞのしをりの道かへて まだ見ぬ方の花を訪ん」

今年は、去年(こぞ)通って、木々の枝を折って道しるべ(枝折・案内)にした山道ではなく、まだ行ったことのない未知の場所の花をさがしてみよう、新しい出会いを求めて。

 宿に戻り、光興は案内の人を頼み、渓流釣りに出かけて行った。「故郷の利根(群馬県利根郡片品村)で釣りするのとは、勝手が違って」成果なし。しかし、同行した案内の男が「山目(ヤマメ)を三匹釣ってきた。海の魚より珍しく、さっそく調理をしてもらい食べた。Photo_4 (写真は晴遊閣大和屋ホテル)

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