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《玉くしげを読む》【その23①】江戸への帰途(江ノ島続き)

さて、一行は恵美須屋に案内人を頼み島内の見物に出発。「下の坊」、「上の坊」そして江島明神「御本社」へ。途中、貝細工を売る土産物屋が目につく。そして、いまでも名所である「岩屋の宮居(岩屋)」へ行く。ここは、長い年月をへて波の侵食でできた洞窟。興味深いのが、「俎岩(まないたいわ)」の近くでのこと。

 若き海士(あま:海女)の「海に入りて鮑(あわび)取り来らん」と云ふ。銭出せば、波をかづきて入、たちまちに鮑取来る也。

「水底の岩の間に、鮑を籠(かご)に入て隠しおき、銭出す多き少きにて取きたる」とかたる人の有しが、左(さ)も有るべし。

 なるほど、ありそうな話である。海女たちは、あらかじめ海底の岩間にカゴに入れた鮑を隠しておき、お客さんのリクエストで潜り、鮑取りの実演をする。それも金次第。商魂たくましい。おまけに、海女のこどもたちも、波間に泳ぎながら、小銭を要求する。まるで「鵜飼い」の「鵜(う)」のように。

 

さらに、名所「稚児ヶ淵(ちごがふち)」を見物。ここは実らぬ恋(同性愛)に失望した鎌倉相承院の稚児「白菊」が身を投げ、それを悲しんだ建長寺広徳院の僧「自休」も、後追いした場所だ。二人とも歌を残したと伝わる。

 白菊としのぶ里の人(僧)とはば おもひ入江の淵とこたへよ(白菊)

 白菊の花の情のふかき海に ともに入江の嶋ぞうれしき(自休)

 正興も歌を詠んだ。

 浅からぬひとの情けにふかき海のあわときえにし ちごをしぞおもふ

 あげまきの(幼い子の)跡をしのぶのさとびとも この世をうみのあわときえつや

恵美須屋へ戻り、預けていた荷物を取って、出発した。M

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