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ご近所グルメ 浅草《やっこ》ジョン万次郎の「うなぎ屋」その2

ジョン万次郎がご贔屓(ひいき)であった、浅草の「うなぎの蒲焼」《やっこ》である。万次郎の曾孫にあたる中濱博氏が記した『中濱万次郎―「アメリカを初めて伝えた日本人―」(冨山房インターナショナル刊)の中に、つぎのような記述がある。 万次郎はうなぎが好きで江戸ではよく浅草の鰻屋「やっこ」に行った。食事をすると、残ったものは必ず折りに残らず入れてさせて持ち帰った。店では万次郎はけちだというもっぱらの評判であった。 そんなある日、その店の仲居が使いの帰りに夕暮れせまる両国橋の上で、せわしく行き交う人波の中で人力車を止めて降り、橋の下をのぞき込んでいる万次郎を見た。(同書291頁) 万次郎は、橋の下に住む貧しいルンペン達に声を掛けていた。そして折りに包んだ残り物の食物を、親しげに彼らに分け与えていたそうだ。  ジョン万次郎は、江戸末期の嘉永四年(1851)帰国し、土佐藩を経て、幕府に通訳として登用される。江戸では、韮山代官で反射炉を築き、幕府へ海防策を建白した「江川太郎左衛門」の助手となり、江川の江戸屋敷に住んだ。この屋敷は、「本所」という現在の東京都墨田区亀沢1丁目(JR錦糸町駅近く)にあった。その後、江川邸が芝新銭座(東京都港区浜松町1丁目)に移ると、同じく万次郎もその地に移転した。さらに明治二年(1869)から、万次郎は再び土佐藩に登用され、(土佐藩)下屋敷のあった砂村(東京都江東区北砂)に13年ほど住むことになる。  文中にあるように「人力車」で浅草・田原町の《やっこ》に通ったのであれば、明治になってからのことだ。なぜなら人力車が江戸(東京)で営業を開始したのは、明治三年、(東京都中央区)日本橋であったことが知られている。そうなると、浅草・田原町から蔵前を通り、両国橋を渡り、以前の住居(現在の両国駅近辺の「本所」)を過ぎ、現在の錦糸町の南、江東区北砂1丁目まで、人力車で結構な距離である。  ところで、両国橋で万次郎の様子を目撃した仲居は、《やっこ》に戻り、さっそく店のおかみさんに、かくかくしかじか・・・と話したそうだ。「万次郎さんは決してケチな方ではありません。身分の低い貧しい人々に食物を分け与える、やさしい方です」  そういえば、万次郎が暮したアメリカには、いまでも外食をして食べきれないと、残った料理を「ドギーバック」に詰めてもらって持ち帰る習慣がある。 ★doggy-bag:[名詞](レストランの)食べ残しを持ち帰る容器[袋]▼表向きは飼い犬に食べさせるということから(実際には自分たちで食べる)

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コメント

たろべえさん ジョン万次郎の鰻屋さんから江東区の北砂まで人力車との事ですね。ナビで調べたら7.1キロですね。このあたりは混雑もあるので車だと55分と出ます。当時は車も走っていないけれど道が悪いので恐らく人力車だと1時間以上かかったのでしょうね。

投稿: 通りすがりの旅人 | 2008年9月17日 (水) 17時54分

【さりげない思いやりや優しさ】

 残り物を届けるという行為が心に沁みます。
 別に一個購入して届けることもできたので
 しょうがあえてしないところがやっぱり
 日本人の鏡です。
 
 優しさを強調したり思いやりを強調したり
 することが最近目につきますが、個人的には
 優しさや思いやりは、相手に気づかれない
 ようにするものかもしれないと思います。

 良い話に酔って今夜はぐっすり眠れそうです。

 ありがとうございました。 

 

投稿: iidarah | 2008年9月18日 (木) 22時24分

iidarahさん

お久し振りです。コメント感謝します。

ジョン万次郎ネタです。万次郎は、身分の低い土佐の漁師見習いでした。学校に行ったのも救助されて連れて行かれたアメリカです。帰国後は、幕府に登用はされますが、ペリー来航時には「通訳」としては採用されず、便利屋のように使われていたようです。

 たたき上げで学問がないという偏見ですね。しかし自分も漂流して、生きるか死ぬかを経験し、人のあたたかさを知っていたため、出世してからも、貧しい人々への「思いやり」の気持をもてたのだと思います。

投稿: もりたたろべえ | 2008年9月18日 (木) 23時33分

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