« ご近所グルメ 浅草《栃木家》豆腐ドーナツ | トップページ | ご近所グルメ 浅草《江戸っ子》天婦羅 »

《朝寝坊》駆け出し添乗員の頃

 添乗員をやっていた若い頃、寝坊をして、集合時間に遅れたことがある。いまとなっては笑い話なのだが・・・、当時は首になることも覚悟したくらいに大きな出来事だった。

 まだ子供が生まれたばかりだった。添乗前夜、夜中に赤ちゃんの夜泣きで起こされ、なかなか寝つけなかった。目覚まし時計も掛けてあったはずだが、無意識に止めたようだ。その日、目が覚めると午前8時を回っている。羽田空港の集合時間は、午前6時30分。当時、携帯電話もなく、羽田空港のカウンターの電話も通じなかったので、行くしかない。顔も洗わず、急いで部屋を飛び出し、タクシーを拾う。その頃は都内に住んでいた。タクシーの車内でネクタイを結び、ヒゲを剃った。運転手さんに急いでもらってなんとか30分ほどで羽田へ到着。しかし後の祭りだ。

 7時30分発の福岡行きの便は出発済みで、担当の団体客もいない。チケット(団体航空券)は、もちろん添乗員たる私が持っている。日本エアシステムの係員に尋ねると、20数名の団体客は、「団体カウンター」で大騒ぎし、チケットなしに飛行機に乗り、九州へ向かったという。おおらかな時代だった。「あとで添乗員が航空券を持って来るから、とにかく乗せてくれと騒ぎ、出発した」そうだ。Jas2

 なんとか次の便を探し、乗り込み、福岡空港へ。到着ロビーをすり抜け、バス会社へ電話する。実は羽田ですでに連絡をして、最初の観光地・大宰府まで先に行ってもらい合流する手はずだった。またまたタクシーを飛ばす。参道を抜け、天満宮へ。やっと境内の茶屋で、お客様と合流である。もちろん、私は土下座だ。言い訳のしようがない。

「すす、すみません。もも、申し訳ございませんでした」、添乗員が集合時間に遅刻をして来ないなんて、まったく話にならない・・・。するとリーダー格の初老の紳士が口を開く。

「いったいどうしたんだい?」「ハイ、実はこどもが夜泣きをしました。夜中に目が覚めて、寝つけず、寝坊しました」・・・と、実にスラスラと本当のことを言って謝罪した。

Tq306c2rjf

「みなさーん、添乗員さんの遅刻の理由がわかりましたよ。」かくかくしかじかですよと、説明。そのうち「しょうがないわね」、「まあ、遅れても駆けつけて来たんだから許しておやりよ」・・・声がきこえる。当時、世の中の人はいい人ばっかりだった。その後の行程は、慎重の上にも慎重を期し、確認を続けたのはいうまでもない。

 考えてみれば、殺伐(さつばつ)としている今と違って、二十数年前は、まだ人々に余裕があったかもしれない。その後の添乗は、2泊3日の「針のむしろ」の九州旅行であったが、「お咎(とが)め」はなかった。会社にクレームをいうお客さんもいなかった。旅を終えて羽田空港では、恐縮して小さくなっていた私に、お客様は、笑顔で会釈して解散してくださった。募集物の『グリーン北九州3日間』というコースだった。どうしてお客様が許してくださったのかは、いまでも不思議でならない。

 誠意は必ず伝わる。自分のミスは素直に謝るしかない。言い訳はしない。これが心情になった。

※写真は愛用の目覚まし時計

|

« ご近所グルメ 浅草《栃木家》豆腐ドーナツ | トップページ | ご近所グルメ 浅草《江戸っ子》天婦羅 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

素敵なお話しですね 確かに今なら大変だった事でしょう..正直さと人柄だと思いますね…だから素敵なものが見せて頂けるのかな(笑)

投稿: いっくん | 2009年2月 1日 (日) 23時21分

いっくん コメントありがとうございます。

何しろ駆け出し添乗員の頃の話で、恥ずかしい限りです。最近は「添乗」も少なくなり、管理ばっかりで面白くありません。それでも年に最低、1回は添乗するようにしています。

投稿: もりたたろべえ | 2009年2月 2日 (月) 08時08分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/177442/42757067

この記事へのトラックバック一覧です: 《朝寝坊》駆け出し添乗員の頃:

« ご近所グルメ 浅草《栃木家》豆腐ドーナツ | トップページ | ご近所グルメ 浅草《江戸っ子》天婦羅 »