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六本木のカリスマ鍼師《鍼師 川井健董 治さなければ患者は来ない縁と運》書評

 難病、現代病と壮絶な真剣勝負を繰り広げる

六本木のカリスマ鍼師(はりし)、波乱の治療人生四十年

多くの人に恵まれた「縁と運」

努力と感謝の半世紀(岡田幸夫著、2008年、郁朋社刊)

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Photo  群馬県桐生在住の文筆家・岡田幸夫の最新作を読む。彼の竹馬の友である、六本木のカリスマ鍼師・川井健董(かわいけんどう)の半世紀を描いた作品である。

場所柄からか多くの著名人、芸能人との「縁」も取り上げられている。

 一流の人とは、多くの人々から愛され、そして多くの人々のために生きてこられた方ばかりである。そうした人たちに接すると、人間の生き方について教えられる。

現代美術の村上隆、俳優の勝新太郎、中村玉緒、元総理大臣・小泉純一郎、女優・栗原小巻、女性代議士・加藤シズエ、娘の加藤タキ。

川井の究めた「鍼灸道」に賭ける哲学、ものの考え方、治療法の奥義などが披露される。人生論、人生哲学として読んでみてもよい。示唆に富む人生訓でもある。とくに小泉元首相の座右の銘を紹介する箇所は、示唆に富んでいる。

小泉さんが総理大臣になったとき、川井は色紙をいただいた。『無信不立』である。

論語の『民無信不立』が出展だそうだ。

 弟子の子貢が政治について、孔子に訪ねた。孔子曰く、

 「食料を十分にし、軍備を十分にして、人民には信頼を持たせることだ」

 子貢が、止むを得ず捨てるとしたら、どちらが先かと問うと、

 「軍備を捨てる」

 さらに残った二つのうちではどちらかかと問うと、

 「食料を捨てる」

と、答えた。その理由を問われて、

 「食料がなければ人は死ぬが、昔から誰にも死はある。人民には信頼がなければ安定しない」

政治にもっとも重要なことは、人民(国民)からの信頼だということである。

 確かに小泉さんのやり方には賛否両論あるが、「文字通り実践し抜いたという点で」実績を残している。さらに川井が小泉さんから聞いた座右の銘は、幕末の思想家佐藤一斉の言葉であった。

 「わかくして学べば壮にして為すことあり。壮にして学べば老いて衰えず。老いて学べば死して朽ちず」

 これは川井にとっても人生の指針になっているそうだ。なかなか含蓄のある名言である。また、加藤シズエさんが九十九歳のときの会話も興味深い。人間は一日に十回「も感動していれば、年はとらないそうだ。「感動」の具定例としてつぎのような事例も紹介される。

 ---昇る朝日、頬を流れるさわやかな風。草花の葉の朝露、道端に花を咲かせるタンポポ、花から花に舞う蝶。目と目が合うと、「おはようございます」と大声で挨拶をしてくれる子どもたち---。

ふつうの心を持っていれば、感動できることはいくらでもあり、感受性を豊かにして生きていれば、百歳でも青春を持ち続けることができる。

川井は東洋鍼灸専門学校在学中から、マッサージの治療院を開き、有名スポーツクラブに掛け合い、治療院を開業し、仲間に呼ばれハワイに渡ったこともあった。バブルがはじめ、スポーツジムもつぶれ、ハワイではビザの関係で強制送還される経験ももつ。浮き沈みに中で、長年治療を続け、多くの人と出逢い、より多くの縁と運に恵まれた。どんな病気も治すという強い意志は、カリスマ鍼師そのものである。

著者は「あとがき」でいう。

彼(川井)が立派だと思うのは、この道に進んだら全く後ろを振り返らず、全力投球で懸命の努力を重ね、多くの人たちとの縁と運に恵まれ、鍼灸療を天職としてしまったことである。普通の人は、大抵どこかで言い訳をして妥協し、ひとつの限界線を引いてしまう。この範囲の中で出来るだけの努力をしようとする。ところが川井の場合、この限界線がない。(略)

人はその人生に迷うことは、たびたびある。自分のいまの「仕事」が天職だと、自信をもっていえる人が、何人いるだろうか。大きな壁にぶつかったとき、この本に出会えることができたなら、もっともっと人は幸せに生きられる、そんな気がして読み終えた。

若い人にも中年のサラリーマンにも、おすすめの人生指南書である。

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