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奈良を想う《日吉館》

 大学生の頃から仏像や寺院建築、古美術が好きだった。建物の歴史的背景が、どうのこうのとか、仏像の様式がどうだとか、随分、生意気な美術評論家だったと反省している。とにかく春休みや夏休み、秋の試験休みは、アルバイトでためた資金で、よく奈良へ旅行をした。その頃、利用したのは、寝台急行「銀河」である。

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 東京23:00発の銀河は、品川・横浜・大船を経て、小田原0:15(ここで日付がかわる)・熱海・静岡・岐阜・米原、そして朝6:43には京都駅に到着した。学生だから運賃は学割を使う。もちろん2段のB寝台。京都駅のホームで顔を洗い、近鉄に乗り換え、特急に乗り30分ほどで近鉄奈良へ。まだ朝である。

 近鉄奈良駅で下車、鹿のいる奈良公園を抜け、国立博物館へ。とりあえず、日吉館へ荷物を置く。それからお寺廻りへ出かける。夕方、歩き疲れて戻る。「お風呂は実力で入る」のだが、込み合っているので、仲間を誘って銭湯へ行く。夕食は、定番の「すき焼き」である。その日会ったばかりの相部屋の仲間と同じ鍋をいただく。それからが長い。各自の古美術談義である。意気投合すると、あしたは法隆寺に行こうとか、高畑の新薬師寺に十二神将を拝みに行こうとか、山の辺の道で歌碑の拓本をとろうなどと、話がまとまる。

 本当に不思議な宿だ。必ずお寺参りをアドバイスしてくれる常連がいる。先輩たちにきいて法華寺の十一面観音が好きになった。光明皇后がモデルだという。慈悲の心に満ちた観音様だ。そんな奈良が、たまらなく好きだった大学生の頃だ。だから旅行を仕事とするようになったのかもしれない。そんな意味で、私の人生の原点が、奈良であり、日吉館であった。

2 (写真:銀河、JR西日本提供、イラスト:自作)

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