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《ある明治女性の世界一周日記-日本初の海外団体旅行-》を読む【その1】

 「日本初の海外団体旅行」というキャッチに思わず手にして知った1冊である。本の帯には“日本初の世界一周団体旅行に参加した横浜の古美術商・サムライ商会の野村みち ハワイ、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ヴァチカン、スイス、ドイツ、ロシア、中国・・・96日間のハードスケジュールを綴る”とあった。

 さらに「表」表紙折り返しには、“母親からの厳しい「良妻賢母」教育と共に、東洋英和女学校でキリスト教と英語という新しい教育を受けた明治の女性、野村みち。豊かな感性と柔軟性で、真摯に、率直な心情を綴った旅行記。”と紹介されている。

(神奈川新聞社刊)

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 明治41(1908)年三月、一人の女性が横浜港から96日間の世界一周旅行に出発した。彼女は32歳、夫は横浜で外国人相手の古美術店を営んでいた。そしてこのツアーは、朝日新聞社が主催した「世界一周会」会員募集の旅行団であった。日本で最初の一般人が参加する海外団体旅行である。

 旅行費用は2,340円。当時の大卒初任給が40円程度であったようで、現代ならおおよそ1170万円という驚異的なツアー代金ということになる。募集旅行であったが、主催の朝日新聞社は(50人の募集に対し80人近い申し込みがあったため)参加者の選考を実施した。いまでは考えられないことだが、申込者の「地位、職業、身体健康状態、教育等」を選ぶ条件にしたようだ。結局、54名の参加者に2名の新聞社社員が随行役(添乗員)として同行した。

 96日間世界一周の旅行コースは、つぎのようなものだった。

3/18モンゴリア号横浜港出発→10日間船中泊→3/27ハワイ・ホノルル(アレキサンダー・ヤングホテル1泊)→3/28ホノルル発→7日間船中泊→4/3サンフランシスコ(フェアモントホテル2泊)→4/5鉄道車中泊→4/6ソルトレイク(ナッツフォールドホテル2泊)→4/8車中泊→4/9シカゴ(オーデトリアムホテル2泊)→4/11デトロイト(フーリア邸1泊)→4/13車中泊→4/14ボストン(ブランズウィックホテル1泊)→4/15車中泊→4/16ワシントン(ショーラムホテル3泊)→4/19ニューヨーク(パークアベニューホテル4泊)→セドリック号乗船→10日間船中泊→5/2イギリス・リバプール→ロンドン(セントアーミンスホテル10泊)→5/12フランス・パリ(ウィンザーホテル5泊)→5/17車中泊→5/18イタリア・ジェノヴァ(サヴォイホテル2泊)→5/20ローマ(コンチネンタルホテル3泊)→5/23ナポリ(ヴェスビオホテル2泊)→5/25ローマ(コンチネンタルホテル1泊)→5/26ヴェネチア(ロイヤルホテルダニエル1泊)→5/27ミラノ(グランドホテル1泊)→5/28スイス・バーゼル(1泊)→5/29車中泊→5/30ドイツ(ハプスブルグホテル3泊)→6/2車中泊→6/3ロシア・サンクトベテルブルグ(ホテル・ド・フランス2泊)→6/5車中泊→6/6モスクワ(スラビヤンスキーバザールホテル1泊)→シベリア鉄道車中泊→12日間(途中、中国東北部通過)→

6/18ウラジオストック(船中泊)→6/21敦賀着

 各都市では、昼間は公式訪問や視察があり、夜には必ず大使館や在留邦人の晩さん会があり、歓迎式典、歓迎音楽会、観劇もあった。船での長旅はまだしも、大陸では鉄道の移動が多く、車中泊も大変多い。かなりハードな旅行である。

 32歳の主婦・野村みちは、明治女性らしい視点でしっかり西欧文化を見て、自分で消化し、振り返って日本について考えをめぐらす。実に興味深い記述も多い。このあたりは、次回にゆっくり紹介したい。

 なお、この世界一周旅行については、『日本初の海外観光旅行/96日間世界一周』

(小林健著、春風社刊)という本も出ているが、3名しかいなかった女性参加者の日記には、正直な旅の印象が書かれていて含蓄に富んでいておもしろい。

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