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【にっぽん 海外交流史】《遣米使節団》の滞在ホテルその2

 使節団のワシントンでの宿は、開業間もない「ウィラード・ホテル」である。150年を経過して現在もこの首都で営業を続ける(Willard InterContinental Washington)高級ホテルだ。1860年当時のサムライたちのホテルライフを紹介したい。

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 この家(ホテル)は一町四方(一町=109m)もあるだろう。四つ角にある五階建ての大建築で美麗を極めている。新見豊前(正使)と自分(副使・村垣)が相部屋になったが、十五畳敷きくらいの部屋である。絨毯を敷いて椅子もあるが、片付けて蒲団を敷いて坐った。(村垣淡路守範正『遣米使日記』)

 この旅館は七階建て(地下二階)で四つ角にあるので入口は二つある。部屋は十畳か八畳くらいで花模様の絨毯が敷いてある。私(従者・加藤素毛)は三階の部屋に四人ではいった。部屋ごとに寝台、タンス、椅子、姿見鏡があり、入口には何か書いた横文字の板がかかっているが、読めないから日本字でもって役柄と名前を書いて張っておいた。

 おそらく新見・村垣・小栗の使節ナンバー3は、「スイート・ルーム」の待遇であろう。イスを片付けて、日本から持参した座布団を敷きすわった。また、従者たちは、おそらく4人程度でスタンダード・ルームに入った。ベッドが置いてある。

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 食事も当然ながら提供される。

 料理はいろいろあるが、鶏肉(チキン)、カステラ、卵、牛のモモ、砂糖、ソップ(日本の味噌汁の代用:スープ)、魚(頭と尾とひれを切り取り、正味と親骨ばかり)、以上は必ず出る。他には牛乳(何を煮るのにも入れる。味はよいが日本人には臭いがきらいだ。飯にさえ入れて炊く)、パン(アメリカ人の常食でむし立てはおいしいが、古くなるとまずい)、魚は鯛、鱒、鮭などが多い。

 飲料は湯茶、コーヒー、氷水などで、西瓜(すいか)は立て割りにして合わせて元の形にして出す。味はとてもよい。(略)ワインは種々あるが、大きな瓶に入れて調合して出すので薬酒のようである。おかんをすることはない。

 一行はハワイ、サンフランシスコでも「西洋料理」に洗礼を受けていたため、それほどのカルチャー・ショックはみられない。だが、「牛乳」は好きになれなかったようだ。また米(ライス)については、アメリカでは「ライス」は野菜であり、主食ではなく、付合せのバターライスが主流だった。これはいまでもかわっていないが、白飯とは違う。

このホテルには、長期滞在することになっていたため、ホテル側も日本の使節団のために、専用の厨房を用意し、日本から同行した料理人(御賄い方)が持参した米を炊いたり、味噌汁をつくったようだ。

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(参考:服部逸郎『77人の侍アメリカへ行く』講談社)

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コメント

たろべえさん 久し振りでござんす 今回の遣米使節団ネタは 中々面白いですね。今から150年も前に船で米国に行くのも命懸けです。よくもまあ アメリカのめしを食べたものだと感心しました。

投稿: 通りすがりの旅人 | 2009年11月 2日 (月) 16時55分

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