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渡辺崋山《日光街道》を行く『全楽堂日録』3

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石橋宿→雀宮宿→宇都宮宿→徳次郎宿→大沢宿

    415日、朝は霧である。石橋宿を出て一里半(約5.9km)、雀宮宿という所で夜

が明けた。ここで休憩。お殿様の駕籠は、雀宮神社の鳥居の内側へ降ろし、行列のみんなはお茶を飲んだりして休む。そして雀宮神社へ参拝する。神社の本殿は石を置いた屋根である。境内には杉の木立が生い茂り、人々がお参りをしているような様子はない。大変神々しくもの静かである。

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(雀宮神社)

また駕籠(輿)の中で眠っている間に宇都宮宿に着いた。江戸を出てここまで、

これほど人家が密集している所はなかった。(宇都宮の)町はおよそ七町(約770m)の長さで、(江戸の千住から続く)奥州道中(街道)と日光道中(街道)が、ここで分かれる交通の要所であって人々の往来も激しい。

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(宇都宮宿 広重)

 本陣は○○(空字)という。この本陣へ(われわれが休憩するために入ったところ)、宇都宮藩主・戸田因幡守殿(戸田忠温とだただよし)から岩茸を旅の慰めとして差し入れられた。岩茸一箱を贈られた礼として、(届けに来た)使いの者へ金200疋(約50,000円)を渡した。(岩茸:いわだけはゆでて酢の物として食べる、貴重なご馳走である)さてこの宇都宮の地は、タバコ入れと干瓢(かんぴょう)が名物と聞いたので、さっそくお土産にタバコ入れを20個ばかり購入した。

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(智賀津神社)

 本陣を出発。日光の山々が手に取るように見渡せる。写生をする。ここから山がとても近くなり、徳次郎(とくじら)宿に着くと、左右が山ばかりである。ここの山々は、それほど高くはないが、垣根のようにしっかり組まれていて、日光山に連なっているように見える。(徳次郎の)宿場は、粛々として古い寺のような雰囲気である。(徳次郎宿は)上と下の2箇所に宿場がある。徳次郎明神(智賀津神社)の森は、樹木が生い茂り森が黒く見える。この日は晴れわたり暑い。午後3時頃(未ひつじ下がる頃)、大沢宿に到着。

    本来、徳次郎宿は、上徳次郎宿、中徳次郎宿、下徳次郎宿の3宿から成る宿場町であるが、崋山は上と下の2箇所と記述している。

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(日光道中絵図 下徳次郎宿)

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(日光道中絵図 中徳次郎宿)

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(日光道中絵図 上徳次郎宿)

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(渡辺崋山 大沢宿)

(大沢宿の)本陣○○(空字)にて髪の月代(さかやき:おでこの上部)を剃って

もらい、入浴をして明日の準備をする。髪結いは夫婦でおこなっており、奥方は月代を剃り、夫が髪を結ってくれる。石橋宿とこの宿(大沢宿)は、大変さびしい宿場で人も素朴である。

東海道を歩くと、1日や2日進んでもなかなか女の人の髪型や容姿は、都めいてきれいなままだが、奥地の古河からこのあたりは、人の心も姿形も変わっていて田舎っぽい感じがするように思われる。(了)

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(日光道中絵図 大澤宿)

    以上で崋山の記述は終わり、日光街道や日光山の写生図が描かれている。日光に入った後は、公式行事で忙しかったのだろうか、記録はない。

なお、崋山の日光社参の記述は、大沢宿で終わっているが、『全楽堂日録』には日光

地区の風景を写生した絵が掲載されている。「神祖廟(日光東照宮)」や「華厳の滝」である。

★資料:『渡辺崋山集』第1巻日記・紀行〔上〕日本図書センター刊

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(渡辺崋山 日光東照宮)

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(渡辺崋山 華厳の滝)

現代でも同じだが、日光街道を進んでくると、宇都宮宿は街道でも一番の賑いである。崋山の記述に宇都宮城や二荒山神社(当時は宇都宮大明神)がないのは不思議なくらいだ。

確かに崋山の記したように「徳次郎宿」に入ると、左右に300m級の低い山々が続く。

この山々が、垣根のように組み合わり、日光連山に続いているように見える。

実際に日光街道を歩いてみると、徳次郎宿あたりから大沢宿へは、まだ杉並木の道が残っている。周囲の山々も近く、昔の家並みこそ姿を消しているが、宿場町の風情を感じることができる。江戸時代の街道旅を追体験できる。

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