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《嘉永五年道中日記》を読む【その13】

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117日 松坂宿(三重県松坂市)→山田 御師の館(三重県伊勢市)約33km

 松坂は石高6万石、紀州殿の御陣屋がある。江戸の三井本家が右側にある。次に28間の板橋があり、徳和坂の石橋がある。

くしだへ一里。この間にくしだ川があり、渡るのに船賃12文。明星村に稲木の坪屋本家があり、たばこ入れが有名である。西の脇に稲荷神社があり、松や柏の木がある。次に新茶屋に祓川があり、橋代は2文。

 

 小俣へ二里半。ここで小休止100文。ここに伊勢の御師(おんし)より派遣された手代が迎えに出ている。ここから御師宅まで案内をしてくれる。次に宮川を船で渡る。これは御師範の(御馳走舟で)出す舟で船賃は無料である。

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 山田町へ一里。この入口の茶屋にて昼食、100文にてとり、正月の17日、御師町に到着。三日市太夫次郎様の坊(御師の館)へ入る。11人分で23歩(約12万円)支払う。お茶代として50疋(約7,500円)払う。このほかに山役銭として12人につき100疋(約15,000円)を出す。(一行は13名の旅のはずだが、11人や12人として金を払っている。集団行動に遅れたり、離団した者がいたのだろうか)

 

三日市太夫次郎(みっかいちたゆうじろう)は、山田の代表的御師(おんし)で、檀家数は35万戸から50万戸といわれる。檀家の所在地は、関東から東北、遠くは北海道松前。佐渡も含まれる。記録によれば各地に御師の手代が派遣され、檀家を増やしていた。また伊勢神社を勧請したこともあったようだ。

 

 伊勢参宮には江戸中期で年間100万人が訪れたという。また御師の数は、江戸中期600から700家を数えたそうだ。御師は、自宅を宿坊として参宮者を泊めていた。三日市太夫次郎邸宅跡は、伊勢市岩渕一丁目224号、伊勢税務署北付近。

 

118日 御師の館(三重県伊勢市)外宮・内宮見学→古市

 18日は御師より案内人が使わされ、山祝として12人につて200文を案内人に渡す。それより外宮へ参拝し、ここにはお参りする所が多い(40社)。次に天岩戸へお参りし、続いて小田川の板橋があり、また宇治橋、長さ50間がある。次に内宮へ参拝し、ここにもお参りする所が多い(80社)。それから朝熊(あさま)山へ登る。虚空蔵がある。この山にて、名物の万金丹(薬)を購入。そして、とうふや喜左衛門という茶屋で御師からの御馳走の昼食をとる。右に二見道があり、少し下って茶屋の脇より右に入る。古市の中程に出る。古市の富野屋(遊郭)にて、8人にて23分(約12万円)を払う。

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(外宮 神宮司庁)

 御師の活動としては、各地を回っての大神宮の神札(大麻:たいま)の配布がある。檀家が伊勢に参って天下泰平、五穀豊穣の祈願をすべきところを、御師が代行して祈願した証を配る。さらに大麻に次ぐ商品として、音物(いんもつ)と呼ばれた伊勢みやげの販売があった。杉原紙、鳥子紙、炭、帯、櫛、海苔、茶、伊勢暦など軽量で運びやすい品々である。いずれにせよ、御師の手代が、各村々を回り、布教活動を広めていったわけだ。

(参考:「江戸時代と伊勢参り」神崎宣武)

 

 さて、檀家が山田の御師宅に到着すると、まず清めの入浴。髭を剃り、月代(ささやき)を剃って髪を整え、羽二重の着物に着替える。夕食は大変豪華なもので、鯛、鮑(あわび)、海老などが食卓に並んだ。上等な灘の酒も付く。御師の館では、神楽も見学した。そして絹の布団に寝た。翌日は、外宮や内宮などの見学で、これも御師が案内人を付け、時には駕籠を使うこともある。出先の昼食も御師の手配で、古市の遊郭で遊ぶのも手代が付き添い案内したようだ。

これだけの徹底したサービスであるため、庶民は法外な料金を納得して払ったのであろう。まさに総合旅行業のはじめである。

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(内宮 神宮司庁)

119日 古市→御師の館→松坂宿(三重県松坂市)約33km

 19日は古市から御師の館へ帰り、昼食をいただき、出発。

 松坂宿へ下る道である。旅籠・富や喜兵衛に宿泊。宿泊代148文。

 

 伊勢神宮については、外宮が豊受大御神(とようけおおみかみ)をお祀りしている。豊受大御神は食物・穀物を司る神。衣食住、ひろく産業の守護神としてあがめられている。内宮は皇大神宮ともいい、御祭神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)、皇室の御祖先の神で、日本人の総氏神とも言われている。

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