« ジオラマ《明治牛乳本所販売店》 | トップページ | 《熈代勝覧》江戸時代、日本橋の店舗模様【その10】 »

《熈代勝覧》江戸時代、日本橋の店舗模様【その9】

◆室町二丁目

Photo

●墨筆硯問屋(中村屋忠兵衛)

 店の前の建て看板には、硯の絵があり、「中村 忠兵衛」とある。またこの看板の下に筆の絵が描かれている。荷下ろしを終えた馬と馬子がいる。

Photo_2

●上絵師

 冠婚葬祭の和装式服・七五三・宮参りの初着などに、家紋を手描きにより描きあげることを「上絵」といい、その技術者を「紋章上絵師」という。白い障子には、家紋と共に「上絵」と「うハゑ」の文字が読める。

Photo_3

●書物問屋(須原屋市兵衛)

 店の前には、どーんと箱看板が置かれている。「書肆 須原屋 市兵衛」、「本屋」と書かれている。のれんのところに広告札が掛かっていて「御絵そうし(絵草紙)」、「狂哥(狂歌)集」、「南郭先生詩文集」とある。

 

 南郭先生は、服部南郭(はっとりなんかく)で江戸時代中期の日本の儒者・漢詩人・画家である。荻生徂徠の高弟であった。

 

 須原屋市兵衛は、江戸時代の出版業界の最大手であった須原屋茂兵衛からのれん分けをした店である。安永3年(1774)に杉田玄白、前野良沢の『解体新書』を出版したことで知られる。そのほかには、平賀源内、貝原益軒、大田南畝、賀茂真淵、林子平、森島中良などの著作を出版していた。人気の出版元。蔵を保有していなかったため、文化三年(1806)の「文化の大火」により、大きな被害を受けたと伝わる。その後、市兵衛は文化八年(1811)に死去し、家業は徐々に衰退していったようである。

(このあたりの事情は、平凡社ライブラリー『江戸の本屋さん』今田洋三著、に詳しい。江戸時代の出版業界を丹念に調べた平易な書物である) 

Photo_4

●小道具問屋(長嶋屋)

 散らかっている店内が見える。どんな小道具を商っているのかはわからない。

Photo_5

●小道具問屋(屋号不明)

 

Photo_6

(巡礼)

小道具屋前の通りには、二人の巡礼者。坂東札所巡りの途中だろうか。「笈摺(おいづる)」という白装束が見える。また、天秤棒を担ぐのは、どんぶり(容器)売りだろうか。

Photo_7

(どんぶり売り)

Photo_8

●下り雪踏・下り傘・小間物諸色問屋(河内屋)

 黒塗りの土蔵造りの立派な店である。大きく開かれた店内には、どうやら雪踏が見える。「下り雪踏」、「下り傘」だから、関西から船などで江戸に下ってきた品物。

|

« ジオラマ《明治牛乳本所販売店》 | トップページ | 《熈代勝覧》江戸時代、日本橋の店舗模様【その10】 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/177442/56841751

この記事へのトラックバック一覧です: 《熈代勝覧》江戸時代、日本橋の店舗模様【その9】:

« ジオラマ《明治牛乳本所販売店》 | トップページ | 《熈代勝覧》江戸時代、日本橋の店舗模様【その10】 »