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《熈代勝覧》江戸時代、日本橋の店舗模様【その11】

 文化二年(1805)頃の日本橋絵巻《熈代勝覧(きだいしょうらん)》の世界である。

 

◆品川町通り

Photo_3

●八百屋

店先には長ネギや大根、里イモだろうか、何種類か野菜が並ぶ。大通りに面する間口は狭いが、横丁の品川通り沿い側の奥行があるようだ。

 

 江戸時代には、野菜は「青物(あおもの)」と呼ばれていた。『守貞謾稿』(1853)には、瓜や茄子など一、二種だけを売り歩く者を江戸では「前菜売り(ぜんさいうり)」と呼び、数種を売る者を八百屋と呼ぶとある。(参考:松下幸子、『江戸食文化紀行』№55「江戸の野菜」)

 

 当時の野菜は、大根、かぶ、茄子、菜っぱ類が主であったようだ。江戸市中に出回っていた青物を季節ごとに並べてみると、つぎのようになる。

 

春)

正月:山の芋、うど、なずな、生椎茸

二月:蓮根、三つ葉、せり、木の芽、生姜、みょうが、春菊

三月:ふき、新ごぼう、わらび、あさつき、わけぎ、いんげん、筍(たけのこ)

 

夏)

四月:きゅうり、そらまめ、自然薯、糸三つ葉、初茄子、青ずいき

五月:茄子、白瓜、ささげ、いんげん豆、枇杷

六月:まくわ瓜、西瓜、桃、生姜、糸瓜(へちま)

 

秋)

七月:ずいき、なた豆、秋桃、唐唐子、冬瓜、長茄子、唐茄子

八月:枝豆、葉しょうが、秋茄子、しそ、初茸、松茸、梨、柿、葡萄

九月:大根、さつま芋、栗、美濃柿、八つ頭芋、しその実

 

冬)

十月:ねぎ、沢庵用干し大根、根せり、焼き芋

十一月:ほうれん草、切干大根、かんぴょう、かぶ菜、漬け菜

十二月:つくし、よめ菜、水菜、もやし三つ葉、紀州みかん

(『実見 江戸の暮らし』石川英輔、講談社文庫より)

 

 以上、季節が現代と若干ずれているのは、旧暦だからである。いまのように年中同じようにすべての野菜があるわけではなく、きっちりした旬があるのがわかる。それにしても、キャベツやじゃがいも、トマト、たまねぎもない。白菜もなかった。

 

 ちなみに「キャベツ」は、「紅夷菘(おらんだな)」と呼ばれ江戸時代に日本へ伝わったが、いまのような丸いキャベツの栽培は、明治時代。

 

「じゃがいも」は、江戸時代初期にオランダ船により長崎に渡来したが、明治時代後期に北海道で本格的に栽培されるようになった。

 

「トマト」も江戸時代に日本へ渡ったが、はじめは観賞用。食用としての栽培は、明治以降で、一般家庭に普及したのは、第二次世界大戦後である。

 

「たまねぎ」も江戸時代に長崎に伝わったが、本格的な栽培は明治以降である。

 

「白菜」が日本に渡来したのは、江戸末期。しかし球状で栽培されるようになったのは、大正時代から昭和のはじめ頃からである。

Photo_4

●笠屋(万屋)

 店の中に笠が積まれているのが見える。

●(伊勢屋)

屋号の伊勢屋は読めるが、商売内容はわからない。店の戸をあけて女性が通りを眺めている様子。

●紙屋(屋号は不明)

店の中には、紙類が積まれているようだ。

●仕立屋(屋号は不明)

着物の仕立てであろう。

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コメント

おはよーございます(^-^)
こうした 季節通りの 野菜を食べていたら 健康になると思えますね?

余計?な灯油も掛かりますから

投稿: ikkun | 2013年3月 3日 (日) 08時43分

そうですね、現代は「野菜」が一年中あって旬が少なくなりました。速成でつくったり温室栽培だったり、燃料も使いますね。本当に健康的なのは、その季節のものを食べることだと思います。

投稿: もりたたろべえ | 2013年3月 4日 (月) 09時29分

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