百年前のハワイ《アレキサンダー・ヤングホテル》を紹介したことがある。開業は1903年だからいまから111年前。残念ながら1981年には取り壊されてしまったが、観光創生期のハワイのホテルとしては、超一流であった。1950年代のホテルのパンフレットが見つかった。大変興味深いので、意訳してみた。
アレキサンダー・ヤングホテルは、世界中やハワイの島々を旅する人たちの究極の選択になります。
旅人たちに必要なものをすべてご提供します。エアコンの効いた客室、タワーペントハウス・スィートルーム、ダイニングルーム、カクテルラウンジ、コーヒーショップ。
ロビーには、世界的に有名なペストリーやキャンディーの売店、花屋、理髪店、酒屋、新聞販売、葉巻とタバコ店、書店そして航空会社カウンターや旅行代理店など。ホテルの建物の中には、紳士淑女のための洋装店、化粧品店、ドラッグストア、ギフトショップ、宝石店、スポーツショップ、そして診療所、歯科、眼科や電信電話(ケーブル)オフィースがあります。
*このホテルのベーカリーでは、「レモン・クランチ・ケーキ」が有名であった。いまでもハワイで食べられる。さっぱりして甘くておいしい。
1950年代(昭和25年から29年頃)には、まだホテルのエアコン(冷房)は珍しかったようで、”AIR-CONDITIONED ROOMS ANDSUITES”とうたっている。まだレストラン(ダイニング)の紹介など随所に「冷房中」が強調されている。
①In the Center of Thingsすべての中心にあるホテル
蒸気船の波止場から5分、国際空港から15分、まさにアレキサンダー・ヤングホテルは、ホノルルの、いやハワイの中心。
魅力的なオリエンタル・バザールは、ほんの数ブロック。
サーフィンのできるワイキキビーチからも数分。
お部屋からは、歴史あるイオラニ宮殿、市庁舎、同様に島の王国やヌアヌ渓谷の風景が見渡せます。
東側にはパールハーバーや砂糖キビ、パイナップルの農園もあります。まさにアレキサンダー・ヤングホテルは、すべての中心です。
②アレキサンダー・ヤングホテルで、モダンなハワイを体験できます。それは心地よく、涼しく、建物の装飾も伝統的なハワイです。客室は楽しい日々やゆったりした夜を過ごせます。バスタブとシャワーのあるお部屋やユニークで魅力的なリビングとベッドルームのあるスィートをお選びいただけます。
アレキサンダー・ヤングホテルは、エアコン完備の客室とスィートを備えた、ハワイでもっともすばらしい施設です。
ルームレートですが、シングルは4ドルからダブルは7ドルから。エアコン付きではシングルが7ドルから、ダブルが9ドルからです。エアコン付きのスィートは、シングル12ドルからダブル15ドルです。ゼニス電気社のテレビとラジオは無料です。
*60年以上前の為替レートはわからないが、安くはなかったはずである。したがってシングル4ドルは、現在の20,000円程度か。
エアコンの効いたダイニングルームは、地元の島の人々や旅行者の方々にも評判のよい場所です。おもてなしの雰囲気に包まれ、すばらしいお食事、きわだったサービス、余暇を楽しむ心地よさを体験できます。アメリカのお食事に加え、世界中の様々な料理をお楽しみいただけます。
③ベッドルームの静寂な尊さとは、もっとも大切にしたいゆったりと休める深い眠りを提供することです。
④障子のドアをすべらせると、ステキなリビングルームは、完全な独立した個室へと変ります。
*やはりハワイには日系人が多い。日本的な「障子」を取り入れていたようだ。
⑤タワーペントハウススィートの心地よくかわいらしいクローゼットのあるドレッシング・ルームは、あなたをただちに旅先の移動の空間から、まるで自宅にいるようなリラックスした気持にさせてくれます。
⑥ダイニングルーム コスモポリタン・ダイニング、それは特別な空間(冷房中)
⑦窓から見えるドラマチックなホノルルのパノラマと絶えず変化する海と空の風景は、あなたのアレキサンダー・ヤングホテルでの滞在を、魔法の世界へと誘います。
⑧スィートルームの、氷のできる冷蔵庫がある「バトラーパントリー(執事の小室)」では、バトラーがコーヒーをいれたり軽食や茶菓を準備します。
⑨ホブノブカクテルラウンジ(冷房中)
*現在では、どんなホテルでもエアコンは完備され快適である。1950年代では常夏のハワイでさえ、冷房はまだまだ高級ホテルに限られていたようだ。また、「冷蔵庫」もアメリカで一般化するのは1954年(昭和29年)以降であったから、当時は高級品である。
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